エアコンの仕組みについて 何故お部屋を冷やしたり温めたりできるのか?
暑い夏にエアコンが無いと過ごせない環境になってきましたね。そこで今回はエアコンの仕組みについて書かせて頂きます。それを知る事によってエアコンをより上手に使いこなすことができますし、またなぜ汚れてクリーニングが必要になってくるのかを知って頂ければと思います。
リモコンのスイッチを入れると、室内機の吹き出し口から冷たい風や暖かい風が出てきますい。この空気はどのようにして作られるのでしょうか。それには、室内機と室外機の関係を知っておく必要があります。一般的なエアコンには室内機と室外機がセットになっています。その室内機と室外機を配管によって繋がっていて、配管内には冷媒ガスが循環しています。冷媒は熱交換という作用によって部屋の空気から熱を運んで、冷媒に乗せて室外機の外に出します。室外機の前から熱い空気や冷たい空気が出ているのを感じたことがあると思いますが、それが、室内の空気から奪い取られた熱なのです。室内の空気を冷媒に乗せて外気の熱と交換することで室温の調整をしています。
冷房の仕組みと暖房の仕組みの違いは冷房と暖房のエアコンの仕組みですが基本的には同じです。ただ冷房と暖房では逆の手順になります。熱を奪い取る場所が違います。暖房の時は、室外の空気から熱を奪い取り、その熱を室内機から部屋に放出しているのです。つまり、室内機と室外機の役割が入れ替わった状態になります。
冷却サイクルのしくみ
熱交換器の役割
空気の熱を奪い取る作業はどのように行われるかと言いますと、分かりやすい例えでは、夏の暑い日に行う打ち水を想像して頂けると良いかと思います。打ち水を行うと少し涼しくなる経験をしたことがあると思います。これは液体の水が蒸発する際に周りから気化熱を奪う事よって涼しくなるのです。これと同じ作用を室内機の蒸発器(熱交換器)で行います。この蒸発器はどこにあるかと言いますと、室内機のカバーを開けてフィルターの奥にある銀色の細いフィンがたくさんついたパネルがそうです。この蒸発器に室外機から送られてきた液体の冷媒ガスが、蒸発器の中で蒸発して気体になります。その時打ち水と同じように蒸発器に接している空気から気化熱を奪い取るのです。気化熱を奪われた空気は冷たくなって室内機の吹き出し口から出てきます。冷房を稼働させますと、室内機がお部屋の空気を吸い込みます。吸い込んだ空気に含まれた熱は冷媒に乗って室外機に送られます。その熱にさらにコンプレッサーで圧力がかけられて更に高温になったものが室外機から外に放出されます。熱交換器を通り過ぎるとファンの力で屋外に放出されます。
暖房の場合は冷房と逆の手順で温度調整が行われます。暖房の場合にはまず、室外機の熱交換器から空気を吸い取り、その空気熱を冷媒に取り込みます。コンプレッサーで圧力を掛けて高温にした熱を室内に送って熱交換器を通る時に温かい風になります。
冷房の時に室内気から冷たい風が出ている時には、室外機からは温かい風が出ていますし、暖房の時には室内から温かい風が出ている時には、室外機からは冷たい風が出ています。
冷房を作動させた時などには、本当に冷たい風が出ているのかと?思う事があるかと思いますが、そんな場合には室外機の前に行って温かい風が出ているかを確かめてみるとよく分ります。
圧縮機と凝縮器の動作次に、蒸発器で気体になった冷媒ガスは配管を通って室外機に戻ってきます。戻ってきた気体の冷媒ガスは圧縮機という機械で圧縮して高圧の期待になります。この圧縮された高圧の冷媒ガスは室内の奪った熱で高温にもなっています。この高温高圧の冷媒ガスを凝縮器(熱交換器)に送られます。この凝縮器は室外機の背面にある銀色の細かいフィンがついたあのパネルです。凝縮器に来た気体の冷媒ガスは凝縮器に接している空気に熱を放出します。この時熱を奪われた気体のガスは液体になっていきます。イメージとしては鍋の蓋の裏に水滴がつくのと同じ状態です。こうして熱を奪われた液体の冷媒ガスは再び室内機に運ばれて行きます。この一連の動きが冷凍サイクルと言われる動作です。
冷媒の役割冷媒は奪い取った熱を運ぶ役割をしています。この冷媒は配管の中に完全に密閉されています。
たまに、エアコンのガスが減って効きが悪くなることがありますが、それはエアコンを設置する時に接合部分の施工が悪くて徐々に漏れていったか、または本体の配管のどこかに穴が開いていてガスが漏れたかになります。最も多いのが室内機側の接合部分か室外機側の接合部分になります。しっかりとガスの漏れている場所が特定されないままにガスを補充してもまたしばらくするとガスが減っていってエアコンの効きが悪くなります。漏れている場所をしっかり特定せずにガスだけを補充する業者がありますので、注意が必要です。意外とガス補充の料金は高く、その割りにはまた冷えなくなったとお聞きするとこがあります。
除湿(ドライ)機能と仕組み
冷房と除湿は同じなのかと感じている方もあると思います。除湿機能を使うとお部屋が寒くなるのを感じたりします。それは除湿機能を使用することによって空気中の水分が減る事によって起きる現象です。
夏には湿度が高くなり、冬場には乾燥するのは空気中の水分は気温が高くなる程多く蓄えられるからです。その為に夏はジメジメしますし、冬場は乾燥します。つまりは空気中の水分量は気温を下げる事で少なくなります。例えば夏に冷えたコップの周りに水滴が付く現象と同じです。
除湿機能は水分を含んだ空気を室内機から集めて熱交換器を通って室温を下げることによって、水滴が熱交換器に付着します。その水滴はドレンパンを通って、ドレンホースから室外機に放出されます。実はこの水滴がエアコンのカビの原因になります。冷房でも除湿でも同じように水滴が発生するということです。除湿を優先したい場合には除湿を、室内の温度を下げたいのであれば冷房を使用するのが良いかと思います。
これまでエアコンの仕組などについて説明してきましたが、次に普段のお手入れや使用方法について説明します。
エアコンのお手入れの方法
エアコンはこの熱交換が効率よく作動できるようにすることが大切です。その為に大切なのはフィルターのこまめなおそうじです。このフィルターは熱交換器の手前にありますが、熱交換器直接埃が付かないためのものです。ところがフィルターが目詰まりしますと、このフィルターが埃で目詰まりしますと、熱交換器に行く空気の量が減り熱交換の効率が悪くなります。
出来れば月に一回のお掃除をすることをお勧めします。取り外してフィルターの裏側から水を掛けるだけでキレイになります。キッチン近くに設置してあるエアコンの場合には油分を吸い込んでいますので、その場合には油汚れ洗剤を軽くかけるだけでキレイになります。
また、エアコンの上部などに埃除けの為に不織布などのフィルターを付けているのを見かけますが、埃は吸いにくくなりますが、空気も吸いにくくしますので、エアコンの効率が下がるという事を考慮しながら使用する必要があります。
フィルター自動清掃機納付きのエアコンも多く販売されていますが、フィルターに縁フィルターに付着したホコリをダストボックスに収納したり、室外に放出する仕組みです。残念ながらその機能はまだまだ発展途上です。ダストボックスの清掃やフィルターを取り外しての定期的な洗浄を行う必要があります。
お掃除ロボット付きのエアコンの場合には、逆にカビが生えやすかったり、お掃除ロボット部分にホコリがつきますので、専門業者による分解洗浄をお勧めします。
エアコン洗浄スプレーなどが量販店などで販売されていますが、効果が少ないばかりか、事故なども発生しているのでお勧めはできません。
- 室外機のお手入れは必要か
室外機のお掃除をご希望されるお客様の多くは、室外機を掃除すると室内の空気がキレイになると思っていらっしゃる方が多いかと思いますが、これまで説明してきたように室外機と室内機の間で空気の交換をしている訳ではなくて、冷媒ガスが循環しているだけです。では室外機をお掃除する意味はあるのかという事ですが、室外機の熱交換器が目詰まりすると効率が悪くなります。ペットの毛や枯葉やゴミなどがついて熱交換器が目詰まりしていないかを確認して、酷いようであれば軽くブラシ等で取り除く必要があります。
室外機の熱交換器は室内の熱交換器に比べてかなり大きく出来ておりますので、多少のよごれは気にすることはありません。
室外機をお掃除すると電気代が安くなりますという業者があるかもしれませんが、それは間違いではないと思います。ただ、清掃代と電気代を比べた場合に清掃代が高くついてしまうと思いますので、私どもでは積極的にお勧めはしておりません。
効率よくエアコンを使用するには
エアコンは作動させた時から設定した設定温度までの間が最も電気代がかかります。一旦設定温度まで気温が変わりますと、そこからは温度の維持の作動になります。30分以上外出するときは一旦消した方が電気代が安くなるという調査結果もあります。
また冷房より暖房の方が電気代がかかると思われている方もあるかと思いますが、それは冷房とか暖房とかの問題ではなくて、現在の室温と設定温度の差が暖房の方が高くなるのが原因です。つまりは設定温度になるまでエアコンは思いっきり作動しますのでその間の電気代が高くなるという訳です。夏であれば部屋の窓を全開にして熱い空気を外に出してから運転をするとエアコンの負担も減って、より早く部屋を冷やすことができます。
室外機をより効率よく作動させる為に出来る事
最も大切なのは熱交換の為に室外機の前は解放されていることが大切です。設置場所によっては無理なこともありますが、すぐ前に壁があるような場所はできるだけ避けるようにしたいです。そのような場合は、風向を変えるルーバーを付けることにより解決することもあります。もう一点は直射日光が当たらない場所に設置するのもよいと思います。直射日光が当たるようであれば庇やよしず等で日陰を作るのも方法です。但し直射日光を避けるために周りを囲ってしまうのはよくないです。
今回の記事を参考にエアコンの仕組みを理解したうえで、日ごろのお手入れやメンテナンス、設置について参考にして頂ければ幸いです。