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今回は歯科クリニックの日常清掃について書かせて頂きます。定期的に専門業者にお掃除を依頼されているクリニックもあるかと思いますが、大事なのは日常清掃です。いくら専門業者に定期的にお掃除を依頼していても日常のお掃除がしっかり出来ていないとクリニックの中はキレイさを保つことはできません。
清潔さ綺麗さが最も求められるのがクリニックだと思います。そんなクリニックの中でも、院内が汚れやすく、ライバルが多い歯科クリニックだからこそ日常のお掃除がより大切になります。
歯医者の数はコンビニより多いと言われております。厚生労働省の統計によりますと、歯医者さんの数は約68500件 コンビニの数は,55620件 歯医者さんは街で6番目に多い業種のようです。
その理由としては、 1多くの歯科医師が個人開業を目指す。2美容師や理容師と同様に、将来は自分の店を持ちたいという傾向がある。3自分の理想とするクリニックを持ちたい。
ところが歯科クリニックの経営は決して楽ではありません。その理由としては
歯科医院の経営が不安定になる要因としては 1患者数の減少 2経費の支出の多さ 3ライバルの多さ
等があるようです。ですから尚更、クリニックの近くにお住いの方により多く利用して頂く必要があります。では自宅近くで難なく通院出来る歯医者がどれ位あるかと言いますと、住んでいる地域によって違いますが、私の所で言いますと5件どころではなくて、10件~20件程度ありそうです。
その中から選んで来て頂く必要があります。コンビニであれば、今日はここ、明日はここと、特定することなく利用するかもしれませんが、歯医者さんは一度決めますと中々変更することもありません。
では患者さんはどういう基準で歯科医院を選んでいるのかと言いますと、アンケート調査によりますと
患者が選ぶ歯科医院の基準アンケート
1.痛くない歯医者 2.通いやすい歯医者 3.優しくて話を聞いてくれる歯医者 4.清潔で安心できる歯医者 5.腕がよい歯医者
このアンケートの結果を見て納得出来ますね。アンケートを見て出来る対策は色々あると思いますが、中でも清潔で安心できる歯医者というのもその一つですね。
院内がキレイである。⇒器材とかも清潔に保たれている⇒患者の気持ちを大切にしている⇒安心して任せられる という流れになりますね。
日常清掃の目的は
Ø医院の美観を保つ Ø清潔な環境を維持できる Ø感染症の感染経路対策 Ø毎日掃除することで時短ができる Ø設備などの破損・故障に早く気付ける Øお盆休み・お正月休み前の大掃除が楽になる
お掃除の基本はダストコントロール
•お掃除の重要なポイントとしてホコリの除去、ダストコントロールがあります。 •見た目に不衛生ですし、どこにでも発生するホコリの管理がお掃除の基本となるので •「立った目線」 •「しゃがんだ目線」 •「チェアや待合室の椅子に座ってみた患者さんの目線」 •あらゆる目線で確認して何処にホコリが溜まるのかを知り、毎日することが重要です。
ホコリの成分は
•布製品から出る繊維クズ(服・カーペット・カーテン・布団など) •紙製品から出る小さな繊維のクズ(新聞・トイレットペーパー・本など) •その他(ダニ・その死骸・フン・花粉・砂など) • •そして人間からもホコリになる成分は生まれます。 • • 毛髪・フケ・皮膚
お掃除に使う道具・洗剤とその使い方
どんな道具・洗剤を使えばいいのか?
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中性洗剤 ユニット周り
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トイレ用洗剤
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アルカリ洗剤7チェア・ソファ
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酸性洗剤 シンク・スピットン
これらを参考にしていただければと想います
お掃除の基本ですが
•奥から手前に キレイにしたところを歩かない ・上から下に •清潔から不潔
玄関回り ガラス・自動ドアの溝
•玄関を見ただけで、その施設の清潔レベルや雰囲気まで分かる。 •ガラスは水拭きで汚れを落とし、乾拭きするのが基本
・ガラスクリーナーは油膜が付き後々汚れが目立つので使用しない。手垢など汚れがキツイ 場合には食器洗いの洗剤を少し付けたクロスで水拭きし、乾拭きで仕上げればキレイになります。
・ガラスに掲示用で使ったセロファンテープの跡を取り除いておく。
・自動ドアの溝に土砂やホコリが詰まっていると、その他の場所も綺麗になっていないという イメージに繋がる。 •自動ドアの溝には患者さんが一番通る場所なのでこまめに掃除しておく。 隙間ブラシを付けて掃除機で吸えば簡単にキレイに出来る。クロスで拭き上げる
玄関回り(傘立て・玄関マット・スリッパ・靴箱)
•傘立てはホコリを取り、水拭きをしてきれいにしておく。 •玄関マットは毎日掃除機かけを •スリッパの表面部は除菌洗剤でキレイに拭き上げる •裏面は金属粉などが付着し、細かな傷が床に付く恐れがあるので濡れたウエスで拭いておく •靴箱にも砂・ホコリが溜まるので拭き上げる
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待合室 ソファ・掲示物・観葉植物
•待合室のソファは中性洗剤を使用してクロスで拭き上げる •汚れが目立ってきたら、アルカリ洗剤と豚毛のブラシで洗浄 •掲示物は大きい物以外はラミネートしておくと見た目がキレイ •剥がれや折れ曲がりがないかの確認。 •枯葉やホコリ、受け皿の汚れの確認 •モニター上部のホコリ •受付は医院の顔、整理整頓されていてホコリがないのは大前提
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トイレ清掃
•トイレは心の鏡」といわれるように、トイレを見ればそのお店または企業の心構え、姿勢を見て取れることが出来ます。
姿勢を見て取る事が出来ます。 •一番汚れる場所の掃除が行き届いていれば、使用する人に好印象を与え、満足度を上げる事が出来ます。
基本的には毎日お掃除していれば特別な洗剤も道具も必要なくお掃除をすることが出来ます。簡単にサッと終わるような状態に常にしておくことが大切です。
•1・トイレブラシで水を奥に流します。 •2 トイレ用洗剤をトイレブラシに付けて便器内に塗ります。 •3 2分程置いて洗剤を浸透させます •4 この間に便座・蓋・ペーパーホルダー・タンクなどクロスで拭き上げます。 •5 ブラシで便器内を洗います。歯ブラシで細かい部分を •6 水を流して洗い流し、便器内を拭き上げます •7 床を拭き上げます •便器やタンクなどの拭き上げは清潔クロスで行い、便器内や床の拭き上げのクロスと分けるようにする
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診察室 床の清掃
•歯医者さんの床は金属粉や石膏など硬くて細かいゴミが多く、 •掃除機を使うと排気により粉塵を舞い上げたり、先の部分で床を傷つける場合があるのでダストモップでホコリやゴミを一ヶ所に集め、掃除機で吸い取る。 •チェア周りの汚れ バッキュームクリーナーをこぼした汚れが付きやすい •バッキュームクリーナーを運ぶ途中でこぼしてこともあり、それを踏むと靴の汚れが付着して黒い汚れになる •水拭きをする場合にはマイクロファイバークロス製のモップで
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•隅や狭い所はモップでは取り切れないので、掃除機で吸い取る。 •充電式の掃除機が使いやすく作業効率が高い •レジンやワックス、セメントや石膏は落ちたら出来るだけ直ぐに除去する。 •床のワックスが剥がれるので、中性以外の洗剤やタワシなどで擦らない。 •パラフィンの汚れは、プラスチック製の幅広ヘラを軽く当てると簡単に除去できます。
診察室 ユニットチェア周りの清掃
•ユニットに座って、患者さんの目線を確認してみましょう •スピットン周り、ワークテーブル辺りが最も目につく箇所は。
・清潔から不潔、上から下を意識して拭き上げるフットペダルや裏側・マットの下などにもゴミやホコリが溜まるので拭き上げる
・スピットンにもウロコ状の汚れが付いている場合は、シンクと同じようにクエン酸 スプレーを使うと綺麗になります。中性洗剤で中和するのを忘れずに
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ユニットチチェア
毎日のお掃除は中性洗剤を付けてクロスで拭き上げる •メラニンスポンジ(激落ち君など)やアルコールやクレンザーを使うとコーティングが取れるので使用しない •皮膚汚れやスポンジの汚れなどユニットの座面の汚れが目立ってきたときにはアルカリ洗剤とブラシで優しくこすり、縞目の中に入り込んだ汚れを浮かせて拭き上げると綺麗になります。
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フットペダル
•治療時に足で動かすフットペダルは裏側に金属粉やホコリが付着しやすく、それが原因で床のワックスが剥がれて黒ずんできます。 •裏側のゴミを除去し、キレイに拭き上げて下さい。
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ドクターチェアーのコマ
•床のキズや、汚れの原因の一つがイスのコマの汚れ。 •ゴミやフロスが噛んでコマが回りにくくなっているイスも多く見かけます。 •月に一度はコマをキレイに拭き上げ、ちゃんとコマが回るか確認して下さい。
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こんなところも忘れずに
•チェアの台座 •換気扇 •モニターの上のホコリ •エアコン •照明器具の上 •無影灯のバーの上
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見える所だけでは無くて見えない所をキレイにする お掃除は見える所だけをしていると、見えない所はとても汚れてくる。 見えない所をきれいにすると、見える部分はとてもきれいになる。 週に一回は分解して奥までお掃除を
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その他
•キャスターが付いている移動できるものは移動し除塵、水拭きする。その時キャスターのロックを解除し、全てのコマが回るようにしないと床に傷が入るので気を付ける。
壁
壁にはかなりホコリが付着しています。時間が経つにつれて、空気中の水分と壁に付着したホコリが合わさり壁が黒ずんでくるので週に一度は壁・天井用のダストモップでホコリを取り除きます。 •塗れたウエスで壁を拭くと汚れが伸びて壁が汚くなるので、必ず乾いたダストモップを使用する。
水回り・シンク
•使用頻度も高く一番汚れやすい水回り、白くウロコ状に汚れが付着してるシンクも多く見かけます。原因は水道水に含まれるミネラル成分。 •酸性洗剤を全体に塗布し1分間放置した後、スポンジで全体的に擦ります。 •錆の原因になるので中性洗剤(食器洗い洗剤)を付けたスポンジで中和し、洗い流します。
・技工エリアの石膏やかなりの厚い頑固な汚れはクエン酸ペースト状にしたりラップやペーパーで湿布するなどで表面を柔らかくし、サンドペーパーで擦ればキレイになりますが、傷がつくこともありますのでプロに任せるのも良いと思います。
ミネラル成分はアルカリ性なので、これを除去するのには「酸」が有効です。。
・酸性の洗剤を使い毎日お掃除するのが有効です。
10%クエン酸水をスプレーする。中性食器洗い洗剤で乾拭き •乾いたマイクロファイバークロスで拭き上げます •午前の診療後と午後の診療後に水分を取っておく
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石膏トラップの清掃
•1 余った石膏や印象材を流す為 •2 シンクの詰まりを防ぐため •3 臭いの防止 •4 排水管に流れないようにする為 • •保健所の規定では月に一度、石膏トラップをキレイにし、フィルターを交換することを推奨しています。 •月に一度は上蓋を外し、石膏の詰まり具合をチェックし、中カゴのゴミは取り除いて下さい。
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毎日行う清掃
•毎日行う清掃のポイントは「新しい汚れやホコリを取り除く」事。 •時間を掛けてダラダラするのではなくて、診療前は玄関から待合室、トイレを中心に、診療後は診察室や水回りを中心に、作業を分担して10分~15分程度の短い時間で行います。 • •あらかじめホコリの溜まりやすい場所、人の触れる場所、汚れやすい場所をあらかじめチェックしておくと作業効率は上がります。 •トイレ・洗面・シンク・ガラス・床・ユニット・玄関
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毎週行う清掃
•毎週行う清掃のポイントは毎日の清掃の補助的な役割と見落としがちな部分の清掃。 •壁面の除菌やスリッパの裏側などは放っておくと厄介な汚れになる恐れがあるのできっちり掃除しておく。 •水回り •クエン酸スプレーで汚れや水垢を除菌する •排水口のネットを取り替える
毎月行う清掃
毎月行う清掃のポイントは高所や取り外しなどが必要な部分をキレイにし、排水口の詰まりや、悪臭、機器の不具合などを未然に防ぐ事を目的とします
天井(換気扇・通気口・エアコンフィルター)
•患者さんが治療時に見るのが天井部分。換気扇やエアコンなどはホコリが付着しやすく、汚いと見た目にも不衛生なので、月に一度はキレイにします。 •換気扇やエアコンの吹き出し口は天井・壁面用ダスターで除塵し、必要であればアルカリ洗剤で拭き上げます。 •エアコンフィルターは取り外し、掃除機でホコリを吸い取る。
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清掃のチャンスは
•診療開始前 玄関回り・待合室・患者用トイレ •御前診療後 診察室(空いたチェアーの所から順に) •午後診療開始前 患者用トイレ・待合室 •午後診療後 診察室(空いたチェアーの所から順に) •急なキャンセルでアポが空いた時
キレイな状態」の定義を決めましょう!
•床ならホコリが無く、パラフィンワックスやレジン、薬液の汚れが付いていない状態 •トイレなら便器や床などに便・尿の汚れが無い、トイレットペーパーの切れ端など落ちてない状態 •ガラスなら手垢が付いてない状態 •シンクなら、石膏や水垢が付いていない状態 •換気扇・エアコンの表面にホコリが付いていない状態 •など、各箇所の「キレイな状態」を決めましょ!
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掃除にかける時間
•約30坪、ユニット4台、スタッフ6名のクリニックの一例 • •床の清掃 10分 •ユニットの拭き清掃 1台3分 計12分 •トイレのお掃除 5分 2か所 計10分 •水回りのお掃除1か所3分 衛生エリア、技工エリアで6分 •待合室・玄関回りの拭き掃除・掃き掃除 10分
出来ない理由を探すのではなく
やれる方法を見つける事が大事!
•美観維持と衛生管理ができるお掃除を医院の文化に! •感動する掃除でなく楽しく出来るお掃除を •汚した人を責めるのではなくて、気付いた人が小まめにする